タイアップ:アニメエンディング『チ。』1期 魚豊
【歌詞】
描き始めた あなたは小さく ため息をした あんなに大きく
波打つ窓の光の束が あなたの横顔に跳ねている
僕の体は雨の集まり 貴方の指は春の木漏れ日
紙に弾けたインクの影が 僕らの横顔を描写している
長い夢を見た 僕らは気球にいた
遠い国の誰かが月と見間違ったらいい
あの海を見たら 魂が酷く跳ねた
白い魚の群れに あなたは見惚れている
描き始めた あなたは小さく ため息をした あんなに大きく
波打つ線やためらう跡が あなたの指先を跳ねている
長い夢を見た 僕らの気球が行く
あの星もあの空も 実はペンキだったらいい
あの海を見たら 魂が酷く跳ねた
水平線の色に あなたは見惚れている
広い地平を見た 僕らの気球は行く
この夢があの日に読んだ 本の続きだったらいい
あの海を見たら 魂が酷く跳ねた
水平線の先を 僕らは知ろうとする
白い魚の群れを あなたは探している
【概要欄】
拝啓
暑い日が続いています。
水曜日の図書館で気球の本を読みました。先生は気球の仕組みを知っていますか?熱した空気は、冷たい空気より軽くなります。だからそれを布で受けて、布に取り付けたカゴごと上昇するんです。実は調べてみるまでちょっと魔法みたいに思っていたんですが、知ってみれば何だか単純な理屈に思えて、少しだけ寂しくなりました。よく考えたらわかることなのに。
僕は気球は、知ることと似ていると思います。僕の持つ知りたいという欲求は際限がなくて、気球もただ上に昇ることだけを目的としています。人生で知れることの量には限りがあるところも、気球と似ています。気球で宇宙には行けませんから。
もしかしたら、僕は宇宙に行きたいのかもしれません。先生はいつかの返信で言いましたよね。人間は経験によって形作られると。人間は知ることが出来るから、日々の経験があるから、心が五感で世界を蓄えて思考を豊かにすると。
なら、知らないことは死んでいることと同じです。新しい何かを知れないことは停滞です。停滞している川は川にはなれません。それは、ただの水になるんです。何処へも行けず、流れを止めて澱みを待つだけの水です。僕は時々それを考えて何だか、酷く、恐ろしくなります。まだ知らない何かが世界には溢れていて、きっとそれは僕の人生の総量よりもずっと多いんです。先生、僕の気球は宇宙には行けないでしょうか。 いつか何かの本で見た、アポリアという言葉を思い出します。解決の付かない問いのことだそうです。僕の「知りたい」を先生はアポリアだと思うでしょうか。
詩はいつもと同じように別紙で同封してあります。お体にお気をつけて。
敬具
●歌詞考察
coming soon
●音考察
coming soon
●絵・アニメーション考察
coming soon
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